ドライザム川 / Dreisam

2020.11.08


カテゴリ: 地理

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日本でもドイツでも、山地から川が流れ出している谷の出口というのは、ヒトやモノの流れの結節点として、昔から町ができやすい場所です。フライブルクもそうして発展した町の一つです。
シュヴァルツヴァルトという山地から流れ出す、フライブルクを生み出したといえるドライザム川が今回のテーマです。

ドライザム川について

まずは大きなスケールの説明から。

下の地図を見ていただけるとわかるように、ドライザム川はシュヴァルツヴァル卜山地(地図右半の山岳地帯)を流れ、盆地や谷をつくりながら平地に流れ出し、扇状地をつくりながらエルツ川と合流して、最終的にはライン川に合流します。

その次の写真はフライブルクの中心地付近のシュロスベルクから、上流側を見たものです。山と山に挟まれて奥に広がっているのが、キルヒツァールテン盆地です。川面は写っていないですが、おおむね手前の山際にそって川が流れています。

三枚目の写真は、ほぼ同じ場所から下流側を見ています。

中心部付近

中世のころのフライブルクの町のすぐ南に接する形で、ドライザム川が流れています。この部分では河床が比較的深く、川幅が狭いのも特徴です。

下の写真は、トラム電停の名称にもなっているシュヴァーベン門橋(Schwabentorbrücke)から撮ったものです。

少し下流側に歩いていくと、下の写真のような緑道が川を挟んで続いています。暖かい季節には川べりに寝そべっている人もよく見かけます。川に面したテラス席つきのビアレストランもあります。

ちなみにドイツでは「釣り」は狩猟と同じような扱いで、許可がないとできません。

河川敷が憩いの場になっているのは、日本と同じですね。また、人間にとってだけでなく、小動物にとっての生息場所でもあります。
ドライザム川の河川敷も、大雨の後などには増水して水に浸かることもあります。

中心部の上流側

次に、シュヴァルツヴァルトに近い上流側がどうなっているか見てみましょう。シュロスベルクのすぐ南側を、山際に沿って流れていますが、水量もやや少なく、川幅もそんなに広くありません。

写真はカルタウス修道院跡の付近ですが、この辺りから旧市街のべヒレや水路への水が取り込まれています。

またこの辺りでは親自然工法の活用が試みられていて、人工的に「瀬」が作ってある箇所もあります。

小水力発電

この付近にはまた、小水力発電所もいくつか稼働しています。
ダムが必要な大規模な水力発電とは異なり、小規模なものであれば環境にほとんど影響を与えずに、恒久的にエネルギーを取り出すことができます。

日本でもドイツでも、電気に変換しない方法ではありますが、大昔から水車によって小水力のエネルギーを取り出し、利用してきました。

小水力発電施設の一つを見学させていただく機会があったので、写真を載せました。中は狭いので距離がとれず、わかりにくい写真になっていますが、ご容赦を。

中心部の下流側

ドライザム川と直角に交わるDB(ドイツ旧国鉄)の線路をくぐって下流に出ると、さらに川幅が広がって流れが浅くなります。

ただ、川が直線的で、かつ幹線道路に挟まれているので、憩いの場とはなっていません。自転車で走り抜ける人、ジョギングや犬の散歩をしている人が多い印象でした。

更に下流まで来ると、川に沿っていた幹線道路も逸れていき、田園風景の中を流れていくようになります。写真は田園というより緑地の中ですが。

高圧電線の鉄塔も見え、なんだか日本のような風景だと思いませんか?

さらに下流へ

このままずっと下流へいくと、フライブルク市域を出て、最終的にはライン川に注いでいきます。

ライン川はゆったり水の流れる大陸型の大河で、もっと上流のスイスのバーゼルまで、貨物船が行き来しています。(といってもフライブルクの辺りはだいぶ上流なので、淀川や荒川などの河口付近よりも小さく見えますが)

写真はドライザム川の合流地点からはだいぶ離れていますが、ブライザッハの町から見たライン川です。(中洲を挟んで向こう側にも流れがあります)

明治時代に日本の河川改修を担当したオランダ人技師が、日本の川を見て「これは川ではない、滝だ」と言ったそうですが、河口付近を除けば日本の河川は流れが急で、水量も安定しないので、ライン川のように貨物船が行き来するような川とは確かに違います。

そう考えると、山地から流れ出すドライザム川は、日本型の河川に近いと言えるでしょう。

以上、観光名所というほどのものではないかもしれませんが、フライブルクの町のシンボルの一つであり、市民の憩いの場でもあるドライザム川の紹介でした。

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